PIMCOグローバル・アドバイザリー・ボード(GAB)のマクロ経済見通し
債権投資の最高峰のPIMCO社は種々の権威ある会議を開催し、長・短期の経済予測を発表し、PIMCO社の商品の論理的基盤を形成している。
【要旨】
PIMCOグローバル・アドバイザリー・ボード(GAB)は、世界的に著名なマクロ経済の専門家や政策当局の経験者から構成されたチームです。
FRB前議長のベン・バーナンキ氏を議長とするGABは、年に数回PIMCOのニューポートビーチ・オフィスにおいて会合を開き、PIMCOの経済予測会議の議論に貢献しています。
GABは今回の長期経済予測会議において、金融政策、地政学要因、原油価格、中国の見通しを始めとするマクロ経済の多様かつ重要な問題についての知見を共有しました。
※Weekly News では中国を除くエマージング市場のQ&Aを抜粋してみました。ご確認下さい。
※米国の利上げ、大統領選、英国のEU離脱、オリンピックを見込んで私たちはどう投資に向き合えば
良いのか、そして諸々のテロは私たちの努力を一気に無にしてしまいます。慎重に、大胆に気長に、
投資と向き合っていかなければなりません。
※上記については9月に入りましたら別途HPで論じてみたいと思います。FPレター購読の方には8月
下旬に整理してみたいと思います。
キャントリル : 最後に、中国以外のエマージング市場の先行き、原油の価格、生産見通しについて説明してください。 GAB メンバー : ポピュリズムの動きはエマージング市場にも広がっています。エマージング諸国では、コミュニケーション技術の発達を背景に、先進諸国での暮らしぶりを目にすることが可能になったため、生活水準と同じように国民の期待値も高まっています。期待値の上昇に伴い、官僚の汚職問題や能力不足、適切な教育や公共サービスの欠如が、欲求不満につながっています。期待値の高さが政策改善につながるのであれば、経済的にプラス要因になり得ますが、一方で近視眼的な政策につながる可能性もあります。
エマージング市場では、国によって経済の実績や見通しが大きく異なります。また、政策や政治の違い、コモディティ生産国、消費国としての役割の違い、改革に対する姿勢の違いなどが見受けられます。なかでも、インド、韓国、台湾、メキシコ、そして意外なことにアルゼンチンの経済は比較的好調です。国によって無視できない相違点があるとは言え、共通のリスク要因も存在しており、なかには長期的にはプラスに作用し得る要因もあります。特に、中国経済の成長持続やコモディティ価格の小幅な上昇というGABの基本シナリオは、エマージング市場全体に好影響を及ぼすでしょう。昨年秋以降、米ドル相場が比較的安定していることも、エマージング諸国の財政に対する圧力緩和につながっています。
言うまでもなく、ロシアやブラジル、戦争状態かその懸念のある中東の一部の国のように、不安定な国が多いことも事実です。
原油相場に関しては、米国における生産縮小といった短期的な要因を背景に、原油価格は現在の水準から緩やかに上昇する見通しですが、長期的には低水準で推移する可能性が高いでしょう。サウジアラビアの生産量は高水準で推移する見通しであり、一方需要サイドでも、気候変動に対する懸念や新技術の開発を背景に、少なくとも先進国では原油の消費がいくぶん減少するとみられます。
また、中東で常に存在する政治的動乱や政権移行の可能性は、安定的なシナリオに対する大きなテールリスクと言えるでしょう。
●最後に2016年の半年の各国の通貨上昇率のグラフを掲載します。上記会議で懸念されているロシア、ブラジルの通貨上昇率が著しい。ピムコやIMFの予想より早く成長を取り戻す気がしてます。オリンピックは熱い!

【以下はPIMCO社のHP】
ECONOMIC OUTLOOK