⽶ドルの独歩⾼と中国

May 25, 2018

ドルの独歩⾼が続いている。⽶国の物価上昇率は2%に達し、⽶利上げの加速が意識されているためだ。ただ⻑い⽬で⾒ればドルの実効レートはまだ1年前より5%も安く、経済や物価への逆⾵ではない。最近の原油⾼も物価上昇圧⼒になり、「⽶利上げ・ドル⾼」が⻑期化する可能性もある。

 

 

21 ⽇午後の東京市場で円・ドル相場は1ドル=111 円39 銭まで円安・ドル⾼が進んだ。この2カ⽉間で7円弱も円安・ドル⾼に振れ、かなりのスピード調整だ。ドルは対ユーロでも連⽇で今年の⾼値を更新。⽶利上げに再び関⼼が向かい、国際⾦融市場では⾼⾦利通貨のドル買いが⼤きなテーマになっている。


「ドル⾼はまだ続くのか」。BNPパリバ証券の河野⿓太郎⽒は先週、ニューヨークで複数の投資家を訪ねたが、ドル⾼に質問が集中した。いまのところ、ドルが年10%前後で上昇した2014〜15 年のようなドル⾼を⾒込む声は少ないが、最も重要なリスク点検の要因との⾒⽅は共通する。


世界の当局者のあいだでもドル⾼は関⼼事だ。⽶利上げが速まれば、ドル建て債務の多い新興国経済に打撃になる。4⽉に⽶ワシントンで開かれた20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀⾏総裁会議でも、この点は⽶中貿易摩擦とならぶリスクとして議論された。今年のG20 会議の議⻑国は資⾦流出に揺れるアルゼンチン。⼈ごとではない。


だが当の⽶連邦準備理事会(FRB)の姿勢は揺らいでいない。パウエル議⻑の8⽇の講演は、こうした懸念をなだめるような内容だった。多くのグラフを駆使し、「⽶⾦融政策が世界の⾦融情勢に与える影響は誇張されるべきではない」と⾔及した。ほかの幹部からも最近のドル⾼を警戒する声は出ていない。


⾦融政策は⾃国の経済情勢をふまえて運営するのが鉄則だ。新興国経済はリスクだが、⽶経済は順調に拡⼤している。


⽶国の物価上昇率は3⽉に2%に達した。原油⾼の影響もあり、年内には2.3〜2.4%に上ぶれるとの予想もある。⽇欧の物価が⾜元で伸び悩む⼀⽅で、⽶国はインフレを抑えなければいけない。新興国不安も国際⾦融市場を⼤きく揺らがさなければ、⽶利上げの制約にはなりづらい。


⽶政策⾦利の先物市場では利上げ加速が織り込まれつつある。年明けは年2回程度の利上げが⾒込まれたが、いまでは年4回を予想する声も増え、FRBの中⼼⾒通しとほぼ⼀致する。その⾒通しに沿ったペースで進めば、⽶国の⻑短⾦利が上がる。⽶国と⽇欧の⾦利差は拡⼤しやすい状況が続き、⾼⾦利通貨のドルに資⾦が向かいやすい。


「⾦利差が再び着⽬されているだけに追加の材料がなくとも⾃然とドル買いの注⽂が⼊りやすい」(外国銀⾏)。


円相場はこの1年、1ドル=114 円台半ばが円安の下限として意識されたが、その⽔準も次第に視野に⼊りそうだ。


為替の話はさて置き、今後も、世界経済の牽引役はアメリカなのだろうか。マーケットのトレンドを占う上で⽶中の動きをのぞいてみると、貿易戦争中の⽶中が「⼀時休戦」で合意した。だが、中国通信機器⼤⼿への制裁をはじめ双⽅の溝は埋まったわけではない。

 

ムニューシン⽶財務⻑官は20 ⽇の⽶テレビ番組で「貿易戦争を当⾯保留する」と明⾔した。これに呼応するように、中国の国営メディアはすぐさま「輸⼊拡⼤」を呼びかけるキャンペーンを始めた。

 

「農産品の輸⼊拡⼤はすばらしい⽣活への需要を満たす」。

 

国営中央テレビは21 ⽇正午のトップニュースで、⼤⾖や⽜⾁など⽶国が輸出を増やしたがっている産品をわざわざ挙げ、⽣活の質を⾼めるには輸⼊の拡⼤が⽋かせないと訴えた。


習⽒は7〜8⽇に北朝鮮の⾦正恩(キム・ジョンウン)委員⻑を遼寧省の⼤連に招いた。⾦正恩⽒の訪中は3⽉下旬に続いてわずか1カ⽉あまりで2度⽬だ。習⽒は⾦正恩⽒の「後ろ盾」として、北朝鮮への影響⼒を強めている。


トランプ⽒は10 ⽇に⾦正恩⽒との史上初の⽶朝⾸脳会談を6⽉12 ⽇にシンガポールで開くと発表した。

 

しかし、⾦正恩⽒は⾸脳会談の⾒送りをちらつかせ、⽶側を揺さぶる構えをみせる。共産党機関紙の⼈⺠⽇報(海外版)は19 ⽇付で「⽶韓は慎重に⾏動し、緩和に向かっている朝鮮半島情勢を逆戻りさせるべきでない」と北朝鮮を⽀持する論評を掲載した。北朝鮮が中国という後ろ盾を得て、⽶国に強く出やすくなった⾯は否定できない。


トランプ⽒は⾦正恩⽒との会談を成功に導くまで、北朝鮮への影響⼒を強める中国と事を荒⽴てるのは得策でないと判断した可能性が⾼い。


習⽒からみれば、北朝鮮カードをフルに使って⽶国との貿易摩擦を「⼀時休戦」に持ち込んだ成果は⼤きい。実際に⽶国が対中制裁を発動すれば、中国経済への悪影響は計り知れないからだ。


もちろん、⽶朝⾸脳会談が成功裏に終われば、中国にとって北朝鮮カードの効果は薄れる。トランプ⽒が再び攻勢をかけるおそれは残る。


6 ⽉12 ⽇の結果次第でマーケットは⼤きく動く。しかし⼤きなトレンドで⾒ると必然的に中国の世界経済への影響⼒は拡⼤に拍⾞がかかっていくようである。その⼀要因を⽰すならば両国の経済成⻑率である。IMF の経済成⻑率を持ってGDP をはじき出すと12 年後のは中国経済の規模が⽶国を抜き去る。中国株のブームがあり購⼊された⽅も多いであろうが、今後はブームではなく実質的な成⻑資産としてとらえてもいいのではないだろうか。

 

 

 

 

 

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